コーヒー豆を購入するとき、どこを見て選びますか?
豆の情報から味の傾向がわかりますか?!
- 豆選びでいつも迷っている方
- 味の傾向・違いが知りたい方
- 生産国による味の傾向は?
- 精製⽅法による味の傾向は?
そんな方向けに、豆のパッケージや商品仕様を見て、味の傾向を知るためのポイントをお伝えします。
コーヒー豆のスペックの⾒⽅
コーヒー豆の販売では、下記のような情報が記載されています。
こういった情報から、このコーヒーはどういう味なのか、ある程度推測することができます。(今回は主にアラビカ種のコーヒーを対象にしたお話です)
生産国側からの情報
- ⽣産国
- 地域
- 農園/精製所
- ⽣産者
- 標⾼
- 品種
- 精製⽅法
これらは“ロースターの主観”が⼊らない客観的な情報になります。
(↓例)
- ⽣産国:ブラジル
- 地域:ミナスジェライス州
- 農園 / 精製:○○農園
- ⽣産者:○○さん
- 標⾼:1000〜1200m
- 品種:ムンドノーボ
- 精製⽅法:ナチュラル
ロースター側からの情報
- ブレンド or ストレート (シングルオリジン)
- 焙煎度
- テイスティングノート
- 焙煎⽇
- ロースターの名前(店名)
(↓例 弊社販売のやまのべ豆)
- 焙煎度:浅煎り
- 生産国・精製:エチオピア・ウオッシュッド、コスタリカ・ナチュラル
- 製造日、賞味期限
- ※味わいなどはHPにて詳しく記載しています。
どこで味が決まるのか?
色々な情報がありますが、生産国と精製⽅法が特に重要な要素になります。
生産国
やはりその国の味の傾向というのがあります。ブラジルの味、コロンビアの味。エチオピアの味。
精製⽅法
コーヒーの実からコーヒーの種を取り出して乾燥させる⼯程を指しますが、この⼯程でも味が左右されます。
最近は、この⼯程を⼯夫して味作りをするのが、スペシャルティコーヒーとしてさかんな取り組みがされています。
⽣産国による味の傾向
⽣産国ごとに味の傾向があります。もちろん例外はあります。
アフリカ系
個性が強い味わいのものが多い印象。
①エチオピア・イエメン:いわゆる”モカ”です。独特な華やかな⾹りのコーヒー。
②ケニア・タンザニア・ルワンダ・ブルンジ:酸味が強く⼒強い味わいの印象。
アジア・インド系
穏やかな酸味で飲みやすい味わいのものが多い印象。
③タイ・ミャンマー・ラオス:良くも悪くも強い個性がなく、飲みやすい味わい。ちなみにベトナムはロブスタの生産量が世界一です。(2022年現在)
④インドネシア、マンデリン:独特な精製⽅法もあいまってユニークな味わい。
中⽶・カリブ海・南⽶系
それぞれ味わいの傾向が大きく異なります。
⑤中⽶系(グアテマラ・ホンジュラス等):すっきりとした酸味で、良い意味で中庸な味わいのものが多い印象です。
⑥カリブ海系(ドミニカ・キューバ等):繊細で、酸味が穏やかで飲みやすい味わいのものが多い印象。ブルーマウンテンのジャマイカもこの地域です。
⑦⑧南⽶系:味わいが⼀括りにしづらいです。コロンビアとそれ以外でだいぶ味の傾向が異なります。
⑦コロンビア:酸味が強く特有の存在感のある味わいを感じます。
⑧ブラジル・ペルー・ボリビア:柔らかく飲みやすい味わい。ちなみにブラジルは世界一コーヒーを生産している国です。(2022年現在)
○○っぽい味を認識できるようになるには?
- とにかく好奇⼼を持って意識して色々飲み比べてみるしかありません。
その際、深煎り (⾖に⽕が通って⿊色寄りになっているもの) よりも、浅煎りのもので飲み比べた方が味の違いがわかりやすいです。
- いわゆる個性的なスペシャルティコーヒーではなく、その国のコモディティグレードのコーヒーを⾊々と飲み比べてみるのが、⽣産国の味わいを知るにはてっとり早いかと思います。(その国で⽣産した⾖のブレンドなので)
精選⽅法の違いによる味の傾向
精選とは?
コーヒーの実のままだと⽇持ちしないですし、輸⼊国としても扱いづらいということで、⽣産国で “コーヒーの実から種を取り出して乾燥させる” 加⼯をおこなっています。この加⼯のことを精選(Processing)といいます。
この精選⽅法次第で良くも悪くも味わいが変わります。
精製⽅法の違いによる味の違い
①⽔洗式 / ウォッシュド (Washed)
その名の通り、⽔で洗い流しながら種を取り出す⽅法。⽔を⼤量に要するため、豊富な⽔資源が必要。
すっきりとしたやや強めの酸味、クリアな味わいになる傾向があります。
②⾮⽔洗式 / ナチュラル (Natural)
⽔を使わずに実のまま乾燥させて種を取り出す⽅法。⼯程がシンプルで豊富な⽔資源がなくても実施が可能。
(昨今は実のままの状態で⻑く時間をとることで、実の糖分を発酵させて、発酵した味を⾖につけるような⼿法が意図的にとられることがあります。ただしエチオピアのナチュラルは意図は抜きにして軽くこの発酵感があるものが多いです。)
③パルプトナチュラル (Pulped Natural)
実の部分を⽔とともに設備を通して剥ぎ取って、ミューシレージとよばれる種の周りに付着したヌメヌメ (さくらんぼの種の周りについているアレと同じです) がついた状態で乾燥させる⽅法。⼤量の⽔を必要とせず、⾮⽔洗式よりも早く乾燥工程を終わらせることが可能。
⽔洗式ほどすっきりした味ではないものの・・・という味の傾向がはっきりしない印象です。非水洗式と水洗式の中間。
以上、3つがメジャーな精製⽅法になります。
ここからはマイナーな精製⽅法です。
前述の通り、昨今他にも⾊々な精選⽅法が開発されています。
スマトラ式 (Wet hulled)
乾燥させていない状態で種まで脱殻してしまって、種の状態で乾燥させる⽅法。
より素早く乾燥させられるようにということでこの⽅法が生まれましたが、乾燥が完了していない状態で脱殻を行うことで潰れてしまっていたりとダメージが入っているものがよく⾒受けられます。
独特なせんべいのような、あるいは⼤地を感じさせるような味わい。深煎りにすると唯⼀無⼆のおいしさがあります。
アナエロビック / Anaerobic
精選方法による味づくりで差別化を…ということで⽣み出された方式。
密閉容器の中に収穫した実を⼊れて放置して嫌気性発酵をうながすことで、独特な味わいを⽣み出します。それがいい⽅向にいくかどうかはやってみないとわかりません。失敗するとせっかくのコーヒーが台無しになるというリスクも。
100時間以上発酵させたり、剥いだ実の部分と種を混ぜて発酵させたり、色々な方法が実験的に行われています。
国ごとで主に採⽤されている精選⽅法がわかれています
⾮⽔洗式: ブラジル / エチオピア / イエメン (ベトナムのロブスタなども)
スマトラ式: インドネシア スマトラ地区
⽔洗式: それ以外
ロースター側からの情報
“ロースターの主観”も混ざった情報になります。
ブレンド or ストレート (シングルオリジン)
ロースター独⾃で⾖を混ぜていたらブレンドということになります。
ブレンドの⽅が抽象的で複雑な味わいになる傾向があります。言い換えると味の特徴が捉えにくい傾向になると⾔えるかもしれません。
焙煎度
浅煎りから深煎りまでどの程度⽕を通したものなのか。基本的にはロースターさんの主観で記載されます。
深煎りになればなるほどいわゆる苦味をともなったコーヒーっぽい味 / ⾹りになっていきます。
テイスティングノート(プロファイル)
こちらもロースターさんの主観でどのような味わいかが記載されます。
フルーツといった⾷べ物の味わいを引⽤して⽐喩的に語られます。味わいに加えて⼝に含んだときの質感も記載されていたりします。丸みのある質感 (Rounded mouthfeel) など…
焙煎⽇
客観的な情報。いつ焙煎されたか。
焙煎⽇から⽇が経つごとに、少しずつ⾹りとガスが抜けて、穏やかな飲みやすい味わいの傾向になります。(ただしきちんと保管されていないと変質して酸味が強い味になってしまったりします。)
ロースターの名前
お店の名前…ですね。
まとめ
- 「生産国側」と「ロースター側」の情報から知ることができます。
- 特に”生産国と精製方法”は、味の傾向が出やすいので、最初に見てみるとよいでしょう。
- 味を認識できるようになるには、とにかく好奇⼼を持って飲み⽐べてみてください。
コーヒーの奥深い味わいは、「苦み」「酸味」「甘味」「香り」などの要素が組み合わさって出来上がります。これは、生豆の品種、生産地、精製方法などにより、風味は大きく変わります。
美味しいコーヒーとは?
嗜好品のため味の好みは人それぞれ。色々な生産国や精製方法などで選んで、味の傾向がわかれば、コーヒー豆を選ぶのも楽しくなります。
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